ギヤレシオの・・・・お話
当時IMSAのプロシリーズは・・春から秋にかけて10ヶ所以上の全米サーキットを・・ラウンドいていました。
レースウイークになると
木曜日にサーキットに入り設営
(我々の様な下のクラスのエントラントは未舗装の駐車場にトレーラーを入れテントを設営したりいたします。)
金曜日が練習走行(普通2セッションあります。)
土曜日が朝の練習走行と午後の予選
最後の日曜日は朝の練習走行と午後の決勝
と言うスケジュールで
進みます。
データーロガーなど高嶺の花と思われていた時代でした
から
練習走行後・・・・ドライバーの記憶が鮮明なうちに・・・・サーキットチャートを書いてもらい
必要な場合には次のセッションまでにギヤを組みなおして
おりました。
(( ギヤ比を決めた時の予想チャートが有るのでこれに重書してもらいます。 ))

ギヤ比設定時の考え方は以下の通りです。
#1 ストレートエンドは5速でエンジンを回し切るギヤ比を選ぶ。
ストレートが速ければ・・・無理せずに追い越しが可能・・・・これほど有利な事はありません。
ストレートエンドにあわせて最高馬力を使い切ります。
#2 1速から5速まで使い切る。
ライバルたちは排気量の大きなエンジンを積んでましたので
小さなエンジンを使っている我々は・・・・エンジンパフォーマンスのすべてを・・・・出し切らね対抗できないのです。
2速~5速で済んでしまうコースでも・・・あえてスーパークロスの1速~5速を組んでおりました。
(ローリングスタートなので・・・発進用ローギヤは・・・不要です。)
#3 コーナー部分のギヤ比はドライバーの好みを優先するが
ドライバーにその気が有れば・・・ギヤ操作が少々忙しくなるがコーナーリング中でも・・・・シフト操作してもらい
エンジンパワー優先の運転をしてもらう。
(( 当初この考え方は受け入れ難かったようですが・・・・タイムアップすることが判った後は積極的に採用してくれました。 ))
練習走行後のギヤ組換え時に計算機叩いてる時間はありませんから
予め下記のようなグラフを用意しておきまして・・・・一目で組み合わせを選別できるようにしておりました。

そんなことを続けているうち・・・朝と昼の気温差で最高速度に差が出る事に・・・気が付きまして
そこで
レースコースに着くと
初日からの気温を1時間ごとに記録し・・次のセッションでの気温を予測する事を始めました
。
これをもとに
予選と決勝の気温を予測し・・・ギヤレシオの選定に・・・・反映させるようにしたのです。
と・あるコースでの・・・日曜朝の練習走行後・・・・#2チーム JIM との会話
JIM 「 Mr.U~・・・ストレートエンドデ・・・オーバーレブシチャウネ・・・・ギヤ・・ナオシテヨ? 」
U~ 「 ダイジョブダヨ・・・・ソノママ・・・レースシテネ・・・。」
と言うやり取りが有りまして
(( 普通のアメリカ人だと・・怒っちゃうかもしれませんが・・・ジムさんは優しかった♪ ))
午後の決勝レース後
JIM 「 アレ~~~?? ヘンダヨ~~。。 レヴリミット・ピッタリダッタヨ~~~~♪♪」
U~ 「 ホラ・・・・ピッタリダッタデショ・・・♪」
となりまして
無事落着
。
その後
IMSAオフィシャルのレーダーガン計測で・・・JIMの車がトップスピードをマークしていたと聞いたのは
#1チームのDOUGからでした。
DOUG 「 U~サ~~~ン・・・・JIMノエンジンニ・・・ヒミツノブヒン・・・ツケタネ・・。」
「ボクニモ・・・・ワケテクレナキャ・・・・フェアジャナイヨ~~~。」
と・・・少々・・・不機嫌・・・・。
エンジン一緒でギヤ比が違うだけ
ドライバーとしての腕は・・・・DOUGの方が・・・・上。
( DOUGの車は・・・彼の好みのギヤが・・・組んでありました。)
JIMの車にいたずらして・・・・・・・レース時の気温を予測して・・・ギヤを組んだだけだったのにね。

エンジン性能をフルに使い切る・・・・小排気量のバイク や カートのレースなど
気温の変化を予想して・・・・・こまめにスプロケット交換した方が・・・・タイム上がると思います。
嘘だと思ったら・・・・試して味噌♪