エキマニチューニング 

 

エキマニの仕様設定はどの様にしているのでしょう?
悩み多き開発の現場を覗いてやってください。

   
 
 
     
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  SACLAMウェブサイトでおなじみのダイナモ試験用エキマニです。 2   試験用のための工夫がいろいろあるんですよ。
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  差込式で長さと組み合わせが変更できます。
 
   
 
 
     
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  付属部品も山ほどあって、限りない組み合わせが可能です。 5   従って、テストが大変!
ちゃんと筋書きを用意していないと、何がなんだか解らなくなっちゃいます。
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  しっかり整理して並べておきます。
 
   
 
 
     
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  こんな具合に使います。
ところで、エキマニの長さは如何して性能に影響するんでしょう?疑問は膨らむばかりです。
私も沢山の専門書を読み漁ったんですけれど、具体的&現実的に解説した専門書ってほとんどありませんでした。
8   なぜだろうか?一度考え出すと止まらない性格なので、手持ちの機材を使って排気管内の圧力を測定してみました。
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  エキマニのヘッドフランジ近くに圧力ピックアップを装着します。
 
   
 
 
     
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  ピックアップを壊さぬよう、水冷ボスを用意しました。 11   ステンレスで部品を作り、溶接で組み立てれば出来上がり。
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  こいつの効果で、圧力センサーは過熱しません。
 
   
 
 
     
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  黄色の線がエキマニ内部の圧力波形で、独立排気管を装備、2000rpmで全開運転中のものです。
1サイクルの間に圧力波が何度も往復し減衰してゆきます。
この辺りまでは教科書に解説されておりますが、充分複雑ですよね!
14   このテストでは、あえて排気管を集合させずに波形調べてみました。
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  800mmのプライマリーチューブを集合させずにそのまま排出です。
アメリカのドラッグスターで使われているレイアウトです。
 
   
 
 
 
     
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  3500rpm時の波形。 17   5000rpm時の波形。
回転上昇と共に1サイクルあたりの山の数が減ってゆきます。
 
   
 
 

排気バルブが開くと、正の圧力波がプライマリーパイプの末端に向かい、プライマリーパイプ末端で負の圧力波となってシリンダー側へ戻ってきます。
負の圧力波が戻って来た時がオーバーラップ期間(排気バルブと吸気バルブが同時に開いている期間)であれば、エキマニによる吸出し効果が生じ、馬力アップするはずです。
つまり、プライマリーパイプの最適長さは、最高出力発生回転とバルブタイミングが決まればおのずと決まってしまう!・・はずです。
私の経験値だと、プライマリーパイプ長はおおよそ800mm前後、高速型エンジンであればさらに短くといった所でしょうか。

最新のF1エンジン用のエキマニ、雑誌などで見ると400mm前後に見えてしまうのですが、よっぽど高回転型なんでしょうね〜!



   
 
 
     
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  これは4-2配列のエキマニで5000rpmのときのものです。
プライマリー独立型とは異なる波形です。
19   ※補足ですが、プライマリーを集合させたときの方が高速運転時に良い出力を計測できました。
何ででしょ〜?お分かりの方教えてください。
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  あれこれ考えながら、様々な組み合わせをトライしましたが、K-18エンジンの場合は ロングタイプの4−2−1組み合わせが一番良いようです。
 
 
  SACLAMのエリーゼ用エキマニも、あれこれテストした結果同じようなスペックになってしまいました。
可変バルタイを装備した最新の国産エンジンと違い、あくまでコンベンショナルなKエンジンでは、トップエンドの馬力確保と同時に中速域でのトルク確保も重要です。
4−2集合部でトップエンドの反射波を、2−1(セコンダリー)集合部で中速域の反射波を。と考えたのです。

国産の高性能エンジンは、低速側の充填効率ををバルブタイミングでコントロールしてしまいます。したがって排気管は最高出力のことだけ考慮すればよい!
 
 
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  ケータハムでよく見られる伝統的なロングタイプ4-2-1 エキマニです。
*きれいですね〜!!
 
 
  ショートタイプ4−2−1の場合、セコンダリー集合部までの長さをを最高回転に合わせるようにしますが(この場合800mmプラス)、写真の物は短すぎるようです。
横置きエンジンの場合、エンジンの回転ゆれが排気管にストレスを与えぬようフレキシブルな部分を設けますが、これがためにセコンダリー集合部までが短くなってしまったようです。
 
 
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  ELISE用のSTDエキマニです。ショートタイプの4−2−1配列ですがちょっと短かすぎます。
 
   
 
 
     
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  こちらはSACLAMの排気管。
ご覧のとおりロングタイプの4-2-1エキマニです。
手前味噌ですが、エキマニ長さ確保するためにあれこれ知恵を絞りました。
触媒の前後に球面ジョイントを取り付けこちらでエンジンの回転ゆれを分断しています。
24   STDエキマニの装着写真です。
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  こちらはSACLAM排気管。
 
 

EXCIGEやSPORTS-ELISEの様に、バルブ・オーバーラップ期間の大きなハイチューンエンジンは、チューニングエキマニによる掃気効果が期待できます。(実際ダイナモテストでも、120馬力使用のエンジンより、160馬力仕様のエンジンにおいてエキマニ変更による効果が顕著に現れました。)
さらに、低速トルク不足のEXCIGEには、ロングタイプの4−2−1エキマニがお勧めです。



   
 
 
     
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  こちらはFERRARI F355用のエキマニです。
エキマニパイプの周囲を遮熱板で囲っています。大変凝った作りですがびっくりする位軽量、イタリア人のクラフトマンシップを感じる逸品です。
唯一気になるところは、ちょっと長さが足りないこと。エンジンの内部は完璧ですから、排気管チューニングは残された数少ないライトチューニングの手段です。
27   こちらはE36M3用の標準品。
裸パイプのままですが、車体側に遮熱板が装備されています。
フェラーリとは製造方法や考え方が異なりますが、やはり第一級の生産技術が無いと出来ない逸品です。
そして気になるところは、プライマリー長が足りないこと。
エンジン本体はやり尽くされていますから、排気系を最適化しないで放っておく手はないと思います。
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  こちらは新型MINI用のエキマニ。
言語道断といってよいほど長さも太さも足りません。排気管をつまり気味にしてNox対策でもしているのでしょうか?さらに横置き後方排気エンジンのエキマニはフレキシブル部分をエンジンの近くに持ってこなくてはいけないので、レイアウトが難しいんです。
※6000RPMで最高出力を発生する中速型エンジンです。したがってバルブ・オーバーラップ期間も少なく、反射波による掃気効果はあまり大きくありません。このためプライマリー長さはあまり気にせずに、排気抵抗削減効果だけをねらって制作しても良いのかもしれません。
 

エキマニを選定するときは、メジャーを持ってゆきましょう!!