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反転型取りをする。出来上がったソリッドモデルから、風洞実験用のFRP空力モデルを製作するため、型取りを行なう。   2   5分割の反転型取りを行なう。まず、型の割面を決め、ゲージで割面の断面形状を測定する。測定用ゲージはDIYショップなどで売っている。   3   断面形状が取れたら、FRP板、化粧ベニア、プラスチック板などで分割面仕切りを作る。この作業は正確さがキモになる。  
     
4   今回は3mmのFRP板(アルミ版を型にして作った)を使用して、反転型取り用の分割面仕切りを作った。   5   シーラー(MELAX-3F/NC AXEL社の商品)と離型剤(External Mold Releace249 AXEL社の商品)を使ってマスターモデルの離型処理を行なう。ここで手を抜くと取り返しのつかないことになる。この手の材料はたくさんあるが、これまでの経験では、この組み合わせが一番、確実で安全。   6   まず、シーラー(MELAX-3F/NC)をすり込む。写真ではウエスを使っているが、化粧液を顔に塗りこむように、手のひらで乳液をすり込んでもいい。乾燥後、ウエスで磨き込む。この作業を数回繰り返す。  
     
7   次にExternal Mold Releace(離型剤)で離型皮膜を作る。スポンジで薄く塗りこみ、乾燥させる。   8   離型皮膜を作るための作業を数回繰り返す。   9   抜き勾配(型を抜くための必要角度)の取れない部分は、粘土で埋めてしまった。  
     
10   離型処理が終わったら、先ほど作ったFRPフランジをソリッドモデルに取り付ける。アルミ板や木片などを使って支えを作り、両面テープ等でフランジ部分をしっかりと取り付ける。   11   今回、支えとなる部分にはアルミ板を使用し、両面テープで固定した。   12   支えを製作した分割面仕切りは、このようになる。この面で分割された型ができるわけだ。  
     
13   同様にして、リヤ部分にも分割面仕切り板をセットする。   14   このようにして、分割面仕切り板のセットが完成した!   15   リヤ部もフロント同様に分割面仕切り板のセットが完成した。  
     
16   フランジをアルミテープ等でさらに延長。この上から新聞紙等でマスキングを作る。   17   積層前の用意ができたら、ゲルコートの調合を行なう。今回はエポキシ樹脂を使用するので、ゲルコートもエポキシを使う。   18   ゲルコートは、ナガセケムテックのSV410(主剤)とHY410(硬化剤)を使用した。この組み合わせは、室温でも硬化の始まる取り扱いやすいもの。硬化前のエポキシ樹脂は毒性が強い! 特に硬化剤は危ない! 直接素手で触れたり、蒸発ガスを吸い込まないよう注意が必要。写真左が硬化剤、右が主剤。  
     
19   主剤のSV410の缶を開けたところ。   20   竹べら等で適量をすくい取り、カップへ入れる。   21   今回はカップへ入れたが、ひと缶全部を使い切るときは、主剤の缶へ直接硬化剤を全部入れるという方法でもいい。  
     
22   次に硬化剤の缶を開ける。   23   調合比は 主剤(SV410)100に対して硬化剤(HY410)13.5。比率を正確に調合すること。   24   主剤と硬化剤を竹べらでよくかき回す。  
     
25   カップの壁面に付着した樹脂も注意深く掻き落し、硬化剤が主剤と均一に調合されるよう気を配ること。   26   調合が完了すると、こんな具合になる。均一に混ざっていることが分かっていただける?   27   硬めの刷毛でゲルコートを塗布。均一に1〜2mmの厚さに! 何回も刷毛でこすって気泡を消すように作業する。  
     
28   調合していない残りの材料はアルミ箔でラップしておく。   29   このようにシッカリとラップしておくのは、主剤は水気を嫌うからだ!   30   主剤にも増して、硬化剤のほうは水気を嫌うので、十分注意してシールをしておく。  
     
31   アルミ箔でラップして、テープでシッカリとシールドしておく。   32   ゲルコートがタックフリー状態(指紋が残るくらいの力で指を押し付けても、指にゲルコートが付かなくなったあたり)になったところで次の作業を始める。ゲルコートが完全硬化してしまってからでは遅すぎる。重ねて積層しても剥離してしまう。今回使用した樹脂は室温硬化タイプのエポキシ樹脂。   33   調合比は主剤(LY554)100対硬化剤(HY956)20。正確に調合し、手早くかき混ぜる。いっぺんにたくさん作りすぎないこと。積層中にポット内の樹脂が加熱硬化してしまう。今回は作りすぎてしまった。適量を数回に分けて調合すること。硬化前のエポキシ樹脂は毒性が高いので注意する(硬化剤のアミンに毒性あり) 。  
     
34   作業時には、1.ゴム手袋を着用 。2.ガスマスクをする 。3.安全めがねを着用。4.専用の石鹸を用意し、作業後よく手を洗う。5.送風機で常に換気しながら作業する。樹脂を皮膚に付着したままにしておくと火傷のように長期間ただれたり、出血したりする(甘く見ない!)。写真の作業者は腕まくりしているが、これは危ない見本??   35   調合した樹脂を、ゲルコートの上に塗布する。次に、コーナー部分にカーボンのフィラメントを積層。フィラメントとは、カーボンの繊維を1000〜6000本くらいまとめたもの。   36   次にグラス・クロスを積層する。グラスマットは使用できない。  
     
37   久々の作業なのでうまくいかない。ちょっと苦戦してます。   38   フロントも同様の作業を行なう。3年ぶりの積層作業だったので、手際の悪いところが多い(笑)。   39   やっとこさ積層作業を完了。なんとか形になったとホッとする作業者。  
     
40   2層目は、カーボンファイバークロスを積層する。   41   2層目(カーボンファイバー層)を積層後、2時間くらい間をおいて、ワーカブルでバックアップする。すべてカーボンクロスで積層すれば最高の型ができるが、時間と費用を節約するため、3層目以降の積層は、ワーカブルを使用した。   42   層間剥離しないよう、こすりつけ、なすりつけ、15oぐらいの厚さに成型する。この作業も素手では行なわないこと。  
     
43   これで反転型取りは完成。   44   今回使用したワーカブルは日新レジンのPLAS CEME-NT。   45   硬化剤はWR-330BN、主剤はWR-330AN。  
     
46   白い方(WR-330BN)の缶を気温の高いときに開ける際は注意が必要。強い刺激臭が出る。   47   作業(積層)前に必要量を取り出しておく。   48   均一な大きさの団子を作る。  
     
49   主剤&硬化剤の双方同じような量を取る。   50   このように必要量、同量ずつ取り出しておく。通常のケースでいけば、10個くらい作っておくといいだろう。   51   白い硬化剤と、茶色の主剤の団子。  
     
52   この2種類の材料を混ぜ合わせることによって、硬化が始まる。   53   このようにして、2種類のワーカブルをこね合わせる。   54   まだまだ均一になっていない。色が均一になったらOK。  
     
55   フロントも同様にワーカブルを盛りつける作業を始める。   56   ワーカブルを盛りつけ、バックアップ(補強)する。   57   これでフロント部分は完成!  
     
58   フロントおよびリヤの分割型は、1日放置して充分に硬化させ、マスターモデルからいったん脱型した。通常は最後まで脱型しない。まず、マスキングの新聞紙を剥がす。   59   プラスチックのヘラを割面などに突っ込む。物置の屋根などに使うプラスチック波板をはさみで縦長に切断し、先端を尖らせて脱型ヘラにする。全体にくまなくヘラを差し込む。金属定規やドライバーなどを使うと、マスターモデルや型を壊してしまうので使わない。   60   ハンマーも使わないほうが無難。圧縮空気をエアガンで型とマスターの間に吹き込むことも有効。しかし、そんなに簡単には外れない。あまり外れないときは、いったん40〜50度ぐらいのオーブンに入れ、形とマスターをそれぞれ膨張変形させてやると自然と外れることが多い。  
     
61   しかし、気が短い作業者はプラスチックベラで強引に外すことにした。   62   だが、なかなか外れてくれない!   63   ようやく外れた。  
     
64   表面の状態を見ると、結果はまずまず。   65   リヤ部も同様に脱型する。   66   リヤ部はフロントよりも上手く外れた!  
     
67   バリ部分をグラインダーでトリミングし、ノックピン用の穴を開ける。   68   ノックピンは、型をシッカリと合わせるときに必要になる。   69   ノックピンを組み付けているところ。このピンが無いと、型の位置合わせができない。ノックピンはボルトを旋盤で追加工して用意しておく。  
     
70   次に、左右面の積層準備。まず、ホイールハウス内側部分が深すぎて脱型が大変そう。悩んだ末、ホイールハウス部分を浅くすることにした。   71   ボール紙などを使って、ホイールハウスで浅くする。   72   側面と上面の割面をどのように設定しようか?と考えているところ。  
     
73   このようなラインで割面するようにすれば、いいか?と決定した。   74   割面に沿ってフランジを作り、組み立てているところ。   75   フランジ部分がほぼ完成。  
     
76   マスキング作業に入る。まずはテープで。   77   続いて上面を新聞紙でマスキングする。   78   側面にゲルコートを塗布。刷毛を直接モデル表面に当てゴシゴシこすらないこと。剥型皮膜が壊れる。刷毛の腹を使う。  
     
79   一度塗布したゲルコートを、刷毛の腹を使って均一に何回か引き伸ばし、ゲルコート層の気泡を脱泡する。   80   ゲルコート終了後、30〜50分放置する。タックフリー状態まで放置する。   81   1層目の積層を開始。まず、積層面に樹脂を塗布する。  
     
82   グラスクロスを積層脱泡ローラーでカラカラやる。   83   2層目はカーボンクロス(3kクロス)を積層する。   84   前にもいいましたが、腕まくりは危険で〜す。こりない作業者であります(笑)。  
     
85   積層終了後、2時間ほど放置しておく。   86   放置しているうちに、徐々に硬化し始める。   87   半硬化状態になったら、ワーカブルでバックアップ。早すぎると、1層目と2層目がバックアップ時にずれてしまい、うまくいかない。  
     
88   遅すぎると、樹脂が完全硬化してしまい、ワーカブル層と剥離してしまう。頃合いを図ることが重要。   89   こんなふうにリブを付けて剛性をアップしてみました。だが、後になると分かるのだが、これが失敗の元だった!!   90   1日放置し、左右面が硬化したところで上面の積層を始める。当然、左右面と上面のフランジ部分にはノックピンを組み込む。  
     
91   周りの型を汚さないように、新聞紙でマスキング。ちなみに、手慣れたプロはマスキングなどしなくても大丈夫。たまにしかやらない作業者は必要!?   92   これまでの作業同様に、まずゲルコート処理を施す。   93   その後、1層目の積層をしているところ。  
     
94   2層目のカーボンクロスを積層する。   95   この後、ワーカブルでバックアップするはずだったが、材料がカラになってしまった! 左右側面にリブ等造り込んだので、材料が足りなくなってしまったのだ。作業前には素材の量の確認を!   96   しかたないので、ワーカブルのバックアップを7〜10oとし、その上からカーボンクロスとガラスクロスで再補強。上手くごまかせた??  
     
97   1日放置してから、脱型作業に取りかかる。本来は、型剤が完全硬化するまで2〜3日は脱型しない。プラスチックヘラを打ち込むが、なかなか外れない!! 作業者は、気が短いのでつい力が入る。   98   ウウ〜ム、まだ外れない。   99   ようやく上面と前面が外れた。  
     
01   上面と前面が外れた状態。   02   今度は側面にヘラを打ち込むが、これまたなかなか外れてくれない。   03   いろいろと手を変え品を変え作業する。  
     
04   ようやく外れてくれた。   05   何とか無事、脱型完了。5分割型が出来上がった。   06   マスターモデルに傷をつけることもなく、なんとか無事だった。  
     
07   余計なバリをグラインダーでカットする。   08   ここで使っているのは、薄手のファインカット。削り落とすのではなく、切り落としてしまう。   09   トリミング終了。  
     
10   組み立てるとこんな感じ。   11   今度は出来上がった型の離型処理。シーラーと離型剤を使用。   12   シーラーと離型剤を塗り込む。  
       
13   処理後、型を組立てる。   14   これで反転型が完成した。          
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